オフィスエム 高橋
―――自信をもってすすめた商品が売れなかった
自動車販売店に入社し、店頭に立って間もないころのことです。研修も終わり、自分では大変良い車だと思う車種を、ご来店されたお客様に自信をもっておすすめしたところ、そのお客様は軽く見るだけで帰ってしまいました。
商品のことはしっかり勉強しましたし、お客様のご要望も伺った上でおすすめしました。「こんなに一生懸命に説明したのになんでご購入いただけなかったんだろう?今日は運が悪かったのかな」など、当時はそんな風にとらえていました。
ところが接客を重ねるごとに同じようなことが続きました。周りの先輩方に負けないように商品のことを勉強して、一生懸命説明しているのになんで買ってもらえないのだろう、どうして私は売れないのだろう。私は販売の仕事が向いていないのかもしれない、そう感じる日々が続きました。
―――商品を提供するということはどういうことか?
そうして悩んでいたころ、上司のすすめで販売士の勉強を始めることにしました。そこで、消費者のニーズを満たすためにどのような商品やサービスを提供するのか、ということを学びました。
はじめはピンと来ていなかった内容ですが、繰り返し勉強し、上司と話をする中で、自分が商品の説明をするばかりで、実はお客様のニーズを知ろうとしていなかったことに気が付きました。もちろん「本日はどういったご用件ですか?」という質問はしていましたが、型通りの質問で、本当に心からはお客様と向き合ってなかったのではないかと思います。
―――商品だけではなくお客様に向き合った
販売士の勉強を通して学んだことで、店頭でのお客様への姿勢が変わりました。それまではとにかく商品の説明を一生懸命にするばかりでしたが、まずは「お客様のニーズを知る、そしてそのニーズを満たすために自分たちが扱っているどの商品のどんな特徴があるのかを伝える」というように変わっていきました。するとそれまではご来店のお客様にご購入いただけたのは10人中1人のみだったのが、5人に1人の方にご購入いただけるようになりました。
また、あまり売れていなかったころは一方的に話すことが多かったのですが、お客様のニーズを意識するようになってから、お客様の話を聞くことが多くなりました。
商品の勉強の仕方も変わりました。ただ単に仕様を覚えるのではなく、お客様のニーズを想像したうえで、どんなニーズにこの商品はどうこたえることができるのか、そう考えながら学ぶようになりました。
―――生産性があがった
以前の未熟な私では、お客様の話を聞いているだけでは、ただ時間が過ぎるばかりで何も生み出していませんでした。しかし、お客様のニーズを知るために話を聞くことを意識してからは、何を聞くべきか明確になったことと、私が伝えることも的を射た話になるため、ご購入いただける際にかかる時間も短縮されました。そのためにやっていたわけではないですが、結果として生産性があがりました。
販売士の勉強を通して、努力することはもちろん大切だけれども、その正しいやり方を知ると言うことの大切さを学びました。どうしても商品の勉強だけをしていると自己流になってしまいます。そこで販売士の学びも取り入れることで、自分の努力の方向性が定まります。
さらに学び続けることで、もっと店舗で数字を上げられるようになりたいと思っています。
以上