販売士

お客様のお買上スタイルの変化にどう向き合うか

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髙島 利尚(中小企業診断士)

1.お買上スタイルの変化

 お客様のお買上の行動が、お店に行って、ものを見て、気に入ったものがあれば、購入するというスタイルから、種々のパターンに変わってきている。
 その一つの大きな要因に、インターネットとスマートフォン普及がある。欲しいと思う商品があるとすぐに検索、その場でネット購入。やはりモノをみてからとなるとお店に行き、実際に手に取って、その場で購入、あるいは改めてスマホ等で価格等を比較し、購入はネットで。また、お店に行き、店内を歩き、気に入ったものがあると、その場で購入、あるいはスマホ等で価格等を比較し、ネット購入など。
 さらに、ここ数年多くなってきたのか、お客様同士で売買。モノ余り時代になり、まだまだ使えるものをただ処分するのではなく、その商品を欲しいという方へ、安く提供するシェアリング・エコノミー(共有型経済)という現象も現れてきている。
 お客様が「価値」を感じるのは、「モノの所有」から「コトの共有」へとシフトしてきたと言われている。

2.商品供給側の変化


 商品の成熟化、多様化に伴い、さらに人口減少の時代になり、お客様の捉え方も「不特定多数」から「個」を重視するようになってきている。単に、百貨店等のお店に商品を陳列すればよいだけなく、欲しいと思っていただけそうなお客様に、どのように商品情報を提供し、お客様が好むお買上スタイルに合わせて、物流も考慮した供給方法を考えなければならなくなってきている。サプライチェーンからデマンドチェーンへの傾向が強くなりつつあるという。
 ものづくりからお客様の手元に届くまで、代金決済の方法に至るまで従来とは変わりつつある。
商品の多様化はグローバル化もあって加速化され、さらに商品のライフサイクルの短命化も一層早まっている。

3.生産性向上への要請

 現在国の大きなテーマに生産性向上がある。生産性向上とは、簡単に言えば、売上高を増やすか、営業活動に係る仕入も含めた費用を少なくするかである。上述のように経営環境が大きく変わってきたときに最も大切なことは、お客様の変化を確認し、当店(当社)が攻めるべきと考えるお客様を明確にし、そのお客様に喜んでもらえる消費(サービス)を提供することである。俗にいう「攻めの経営」が大切となる。
そのために、そのような活動ができる内部体質の強化も求められる。

4.販売士としての取組

 お客様のお買上スタイルに合わせて、お客様に喜んでもらえる対応の仕方も変わる。
 対面での接客についての基本は変わらないが、その都度の接客方法は変わってきている。豊富な商品知識を持ったお客様が、何を狙いとして来店されているのか、どのようなサービスを期待しているのかを素早くつかみ、お客様に喜んでもらえる接客をしなければならない。
 また、直接顔の見えないお客様のニーズをつかむ必要性も以前とは格段に違う形で求められる。ネット通販のように、データだけでの対応になったとき、お客様のお買上スタイルを体系的に把握し、その変化の経緯等を踏まえて、タイミングよく商品情報の提供が大事になる。
 お客様のお買上スタイルの履歴管理、お客様との対話記録等は、ネット販売固有ではなく、対面型においても重要になっていることはいうまでもない。これらデータは、WEBカメラの活用、スマートフォン、AIスピーカーなどの活用など最近のITの利活用によって、その量も質も変わる。
 改めて、どのようなお客様に、どのような商品/サービスを提供していくべきか、想定できる範囲で層別化し、一人ひとりのお客様を意識した取り組みがより大切になってきた。
 今年の中小企業白書の一つのキーワードが「自己変革」である。「自社が社会から求められている役割を改めて明確にするとともに、その役割を果たすために必要な自己変革を積極的に行っていくこと」とある。
 改めて、激変する環境下において、ゼロベースから考え、常に環境適応できるようチャレンジしていきたい。

以上

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