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使えるデータ活用 第2回 データ活用7つの型①②

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中小企業診断士 福田 美詠子

データ活用の7つの型

(1)データ活用の7つの型とは、①②

◆「データ活用」と言ってもさまざま

 データには反復して欲しいパターンを再現する力があり、一たび仕組を作ればアウトプットを継続的に生産できます。データを活用するほど生産性は上がるはずですが、これがなかなか進みません。
 原因のひとつに、データ活用事例として聞く方向性がバラバラで、混乱することがあげられます。たとえば「集めるデータは必要最小限の項目に絞る」という事例がある一方で、「多様なデータを集めて分析する」という意見もあり、その会社ならではの技のように思えてきます。  これは、業種・職種の違いともいえますが、むしろデータ活用そのものに型があって、そのどれに力点を置いているかの違いです。特定の業種・職種向けであっても、ITのソリューションにはパッケージとして多くの機能が含まれているように、ひとつの業務はそれ自体が体系を持っており、多様な情報処理がされています。その情報活動という機能にフォーカスして分類していくことで、データ活用の体系が見えてくると考えられます。

◆データ活用は①言語型 ②体育型 ③家庭科型 ④理科型 ⑤芸術型 ⑥数学型 ⑦社会型

 データ活用は人間の情報行動の反映なので、情報活動を体系的に習得する際の学校教科に対応するような型を持っているようです。学校教科は、扱う対象の違いに応じて、考え方にもそれぞれ特色があります。教科によって得意・不得意が分かれることはよくあることです。知能を総合的に発達させようとする義務教育の教科の体系は、人間の情報行動を網羅するように組まれていますので、データ活用も教科に沿って分類すると、基礎的な型を一通り抽出することができると考えられます。
 型を習得して、さらに深めたり、組合せたりして、データの活用を高度化することで、生産性の向上が見込めます。では、1つずつ見ていきましょう。

◆①言語型は、接した刺激をデータ化して適切に取り込む

 世の中に情報がどれほどあっても、データ化されていなければ、ITの力を使うことはできません。学習するときに言葉を使うように、データ活用の出発点にはデータ化が求められます。20世紀ではコンピュータのメモリが高価だったため、データ入力は必要最小限としていましたが、今では大規模なメモリが身近になりました。言語でも語彙を増やすとスキルが上がりますが、伝票など紙の情報をデータ化することで、生産性が向上します。⑥数学型と組合せて認証能力を高めた音声入力や画像認証も、実用化されてきました。
 バーコード入力やセンサの自動取込などで入力負荷を低く簡便に取り込むと、1件当たりコストが下がります。一方で、不正データは排除する必要があります。発注数の桁や単位を間違えてとんでもない数を発注してしまった例を聞きますが、発注数の上限を設定しておくなど、入力データをチェックして水際で食い止めるようにします。
 簡便取込と不正排除という背反する要件を負担軽く実現するには、機能を備えたIT機器の導入が推奨されます。セキュリティを高めるデータ活用の仕組を組み込んでおきましょう。言語でも通じる人口が多いほうがいいように、データ入力の機器は業界でメジャーな、あるいは世間一般に汎用性の高い仕様のものにしておくと無難です。

◆②体育型は、接したデータを素早く正確に処理してつなげる

 レジでたくさんのバーコードを読み取ると、正しい商品に振り分けられ、消費税が付いて合算・表示され、レシートが出てきます。入力されたデータが次々に処理されて素早く正確に出力されるさまは、あたかも体育のスポーツで状況を的確に判断して瞬時に身体を反応させる、高度な知性をみるようです。いちいち考えていては追いつかず、反射的にかつ適切に反応することが求められるのと同じく、体育型データ活用はデータ処理方法が決められており、定型的業務の自動化につながるものです。
 スポーツでも1つの動作で止まってしまわずに動作をつなげてプレーするように、ロボットに組み込むなど、業務をできるだけつなげてデータを活用すると生産性が向上します。  体育のときには、タイムを測ったり、成功した回を数えたりして、うまくできているかを確認しながら練習します。②体育型も、業務がうまく制御できているかをデータで確認すると効果が上がります。業務上重要性の高いデータに絞り、迅速にモニタリングし、日々の現場運営へのフィードバックを得て、問題があればすぐに手を打っていきます。

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